2007年11月27日
もうすぐ50,000カウント!キリ番プレゼント企画
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キノコに思う 広がるナラ枯れ病 心配
「小松さーん、最盛期だよ!写真撮りにおいで」。岩手県田野畑村のマツタケ採りの名人からの電話に、私は喜び勇んで車を走らせました。
田舎のカメラマンにとって、春の山菜と秋のキノコの写真は欠かせません。マイタケ・ナメコ・などはある程度撮れていたものの、マイタケに匹敵するキノコの王様・マツタケの写真は撮れていません。というのも、ここ十数年の松食い虫被害の影響で秋田の松林は壊滅的な状態だからです。内陸部のマツタケ産地でも年々、松食い虫の被害で林が駄目になり、収穫量が激減しています。
仙岩峠を超え、岩手県の沿岸部へ車を走らせると徐々にきれいな松林が見えてきます。岩手の沿岸部には松食い虫の被害がほとんど見られません。その理由をマツタケ採りの名人に質問してみたところ、「それはやませの影響でしょう!」とあっさり回答するのでした。
脊梁山脈を境に、やませの東風は、秋田に豊作をもたらしてくれる宝の風です。仙北市田沢湖に伝わる民謡「生保内節」にも歌われているとおりです。でも岩手にとっては冷害をもたらす悪風。そんな認識を持っていた私は「目から鱗」でした。海からの冷たい風が松食い虫の侵入をこばみ、松林に適度な風を通しマツタケの生育に適した林を造るのだと聞き、なるほどと納得しました。
マツタケはアカマツの木の下、日当たりがよく風通しの良い場所に、帯状もしくは輪状に発生します。その場所を「シロ」と呼び、名人たちはこのシロを順繰りにみて探すそうです。早速名人と松林へ。間もなく「ほらここ、ほらそっちにも」と教えてくれるのですが、私にはさっぱりわかりません。少しこんもりとした所の松葉をそっと寄せてみると、ありました。見事なマツタケが。
夜は村の宿で名人が持ち込んでくれたマツタケをたらふくごちそうになりました。
数日後、私が「秋田の山歩きのお師匠様」と仰ぐ方から、「マイタケいっぺ採れだがら、取りにこ〜い」と嬉しい電話!今度は食べきれない位のマイタケを頂きましたが、そんな時、ふと考えました。
最近山形県で見てきたのですが、山の斜面の所々が秋でもないのに赤茶色に変色しているのです。やはりカシノナガキクイムシによるナラ枯れ病でした。徐々に北上し昨年、秋田県でも被害が確認されました。
マイタケが生育する木はおもにミズナラの木。このまま被害が広がれば、県内のマイタケは近い将来、県産マツタケの二の舞になってしまうのでしょうか?それ以上に美しいブナ林に点在するミズナラの木が枯れてしまったらどうなるのでしょうか。おいしい天然マイタケを食べながらなにか不安になってしまいました。
屋久島と白神山地 「世界遺産」の弊害共通
「南の島に雪が降る」
そんなフレーズが頭の片隅に残っていたものの、「そんな馬鹿な、きっと外国のどこかの話だろうな」などと思っていました。
そして風景写真を撮るようになり、その南の島が日本の屋久島のことだと知り深く感動したものでした。
島の海岸周辺は亜熱帯気候。一方で山頂付近は亜寒帯気候で雪が降るという、日本全土の縮図とも言える特異な気候環境の島。風景写真を志す人が一度は訪れたいあこがれの島でした。
6月上旬、屋久島での仕事の依頼が舞い込んできました。あるレコード会社の、環境に関するDVDのジャケット撮影でした。
でもこの季節、秋田の山も新緑や花がとても美しい時期。まずは秋田をしっかり撮る方が大事だと一度はあきらめかけました。
そんな時、大仙市の故藤田秀次さんの言葉を思い出しました。藤田さんは秋田の食文化、とりわけ餅を深く研究された方です。
「秋田の餅を語ろうと思ったら、東北の餅を調べなくては語る事ができない」「さらに日本、いや世界中の餅を調べないことには本当の秋田の餅は見えてこないんだよ」
そんなふうに熱っぽく語った藤田さんの言葉に背中を押され、私は屋久島に行く仕事を引き受けました。
秋田が有する白神山地をもっと違った目で見るためにも世界遺産で日本の両雄とも言える屋久島を見ることはきっとプラスになるだろうなと。
照葉樹林帯の森の深さと杉の巨木。人を寄せつけない威圧感に圧倒されて、どんどん島に入り込んでいきました。
急峻な道が続く2千メートル近い山々。九州最高峰の宮之浦岳(1936メートル)では、6月とは思えない寒さのなかで満月を見ながら一晩を明かしました。すべてが美しく、至福の時間でした。
2度目の屋久島撮影を7月下旬に終え、ゆっくりと白神山地と屋久島との違いを考えました。
森も山もそれぞれの個性があり、生態系もまったく違います。どちらも比べられないほどの素晴らしさをを持っていると感じました。
ただ一つ共通点があるとすれば、それは世界遺産に登録されたがゆえの様々な「観光公害」でした。
世界遺産と言う言葉に浮かれ、無謀な登山計画で入山したり、信じられない軽装のままハイキング気分で入山する人が実に多かったのです。結果、様々な事故が多発していました。
そして増え続ける観光客に対応が間に合わず、島外からやってきた経験の少ない「速成ガイド」が多いことにも驚かされました。
美しさの裏側に潜む山の怖さはどこでも同じ。決して山を甘く見てはいけないと思います。たとえそれが世界遺産であろうが、身近な「オラホの山」であろうが・・・。そんな事を考えさせてくれた撮影でした。
