今月の一枚・2004年3月
そろそろ春の足音が聞こえてきましたね。光りも風も香りさえもいままでとは違う静かな躍動感を感じる季節です。雪解けの早い南斜面にせりだすようにこのマンサクの花は咲き出します。あまり目立たないのでなかなか気づいてもらえない花ですが、結構道路脇でも沢山咲いているので探してみて下さい。
この時期になると、以前鳥海町のマタギと春の山を歩いていた時のことを思い出します。マタギが足元に咲くイワウチワのピンクの花を見てこう言いました。『この花は別名「われさき」と言うんだよ。みんな春一番に咲く花はマンサクだというが、〈そうじゃない私の方が先にさくんだよ。〉という意味で我が先に咲く!の意味で「われさき」なんだ。』と….
春を待ち競いあうように咲く花や木々の気持ちをなんとうまく表現したいい言葉だろう、そして人々の春を待つ心が花達に置き換えられただけで「われさき」は実は雪深い鳥海町に暮らす人々の春を待つ心そのものなんだな〜と。
今でもマンサクの花が咲くと私も「われさき」とウキウキしてしまいます。